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現在、日常生活に用いられる時刻の基礎となっているUTC(協定世界時)は、原子時計によ
って決定された時刻(国際原子時)と整数秒の差を持つ。
この差が生じるのは、地球自転の不整のため。要するに、日常の時刻は、もとをただせば、
原子時計で測っていて、地球の自転にあうように適宜、修正を加えている。ちなみに、この修
正が「うるう秒」と呼ばれるもので、アストロロギアは現在までのすべてのうるう秒を「知って」い
る。
コンピュータ内部の時計は、1日を86400秒に固定して動いているが、アストロロギアは、うる
う秒が挿入されている日が86401秒であることを認識し、適切な補正を行うことができる。(補正
すべき差はすでに一分を超過しているが、従来の占星術ソフトでは、この差に無頓着なことが
ある。)
さて、レーザー冷却法は、アメリカとフランスの物理学者によって開発された。常温では、分
子や原子は、でたらめな方向に運動している。
レーザー冷却法は、レーザーを用いて気体を冷却し、減速する。これによって、ひとつひとつ
の原子の構造を精密に研究することが可能となり、気体の量子物理学的なふるまいの解明へ
の道がひらかれた。
この業績により、3人の物理学者たちが1997年にノーベル物理学賞を受賞した。当時から、
この方法を用いて、高精度の原子時計が設計できることが指摘されていた。受賞者のひとりフ
ィリップ博士は、アメリカ国立標準技術研究所に属する。このたびの原子時計は、この研究所
によって開発された。
そもそも「一秒」とは何か。定義は、セシウム原子内のある種の周期によっている。その周期
の91億9263万1770回が「一秒」であって、初めに述べたように、原子時計でも日常の時刻で
も、秒の頭は一致している(整数秒の差しかない。簡単にいえば、ふたつの時計の秒針は同じ
タイミングで動く……ただし指し示す秒数には、うるう秒による差がある)。
正確な時刻の決定とは、現時点においては、結局、セシウム原子内のその周期を測定する
技術に依存する。
新型の原子時計では、セシウム原子を超低温まで冷却することにより原子の運動をほとんど
停止させ、内部の現象をより正確に測定できるようにしている。
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