コンピュータとバイオテクノロジー


 現在起こりつつある「革命」ないし近未来のテクノロジーを語るキーワードとして、「コンピュー
タ」(情報テクノロジー)と「バイオ」(バイオテクノロジー)がある。

 世界中のコンピュータが相互に接続されること、つまりインターネットによって、人類は新しい
コミュニケーションの形を手に入れた。このチャンネルを基礎として、このうえに、新しい構造、
高次構造が生まれてゆくだろう。
 「一台一台のマシンがニューロンとなり地球が脳となる」という図式は単純すぎるとしても、接
続されたコンピュータ群と生物学的ネットワークとは、互いに相手を理解するためのヒントを与
えあう――例えば、「ウィルスの侵入に対する免疫系=自律的自己修復サブルーチン」という
概念は、生物学でもコンピュータネットワークでも有用かもしれない。

 バイオテクノロジーのほうも、新しいスタートラインが設定された。ヒト遺伝子の構造解明――
これは、ある惑星系の地図を手に入れたようなもので、今後、この地図をもとに、どの国はどう
いう立場にあって、別の国とどういう関係にあるか、を綿密にスパイする。
 ある国のあり方が平均と異なっている惑星では、どのような巨視的影響が生じているか? 
また「国際社会」になんら影響を与えていないような片隅の小国は、本当に無意味な存在なの
か? 最終的に我々は、自分たちにつごうの良い結果をもたらすために、別の惑星上のある
特定の国家に武器支援を行い、人為的な内線を発生させさえするだろう。
 この表現だと、ともすれば「悪い事」のように理解されるかもしれない、が、ここでいう「惑星」
とは、自分自身の遺伝子のことだ。

 遺伝子をいじるのは危険だと想像したがる人は多い。しかし、すでに実在する遺伝子をほん
のちょっといじっても、比較的に問題は少ない。
 もっと本質的な問題は、我々が一から「遺伝子」をデザインしたときに生じる。

 コンピュータとバイオのふたつの技術が結合するであろうもうひとつの局面は、広い意味での
ニューロコンピュータだろう。
 インターネットが生体ネットワークと対比されるように、一台のコンピュータもまた「生物学的」
にデザインされる日がくるかもしれない。
 我々が目指しているのは、どっちにせよ、人工生命なり人工知能の創成であって、寂しい地
球人は、ある段階に達すると、SETIAIの世界にひきつけられるらしい。


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