さまよえるユニコーンのうた


おいで
ハイドホーン
私の一角獣

乙女は微笑って(わらって)
白い腕をさし出した

すると私の心は
たちまち彼女(かのひと)のものなのだ

乙女よ
そなたがのぞむなら
銀の水面の月だって
とってこよう
輝く星々の詩だって
あつめてあげる

でも
夏すぎて 秋には
乙女は森を去る
背の高い若者に恋をして

冬が終る頃
また別の乙女がやってくる

乙女の心はいつも真実なので
私は またもや恋におちる

彼女もいつか 夢の森を
捨ててしまうのに

でも今だけは
星々よ 歌う木々よ
彼女の心は私のものだ
わたしの ものだ…

   中山星香『東は南 西は北』より 


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