森 2篇


朝焼けは何色?
朝の森を満たす このすがすがしい
少し苦み走ったにおいは?

猫は考えない
それは 察知する
《世界は言葉では測れない》

空気のにおいをくんくん嗅ぐこと
そこから何かのしるしを見いだすこと
子どもよ 猫たれ

  *

夕暮れの森の
うっとりするような あめ色の光
夢のような 葉ずれの音

本当に美しい‥
だからこそ
《美しい》と思っては いけない

子どもよ
言葉に逃げず この美しさを直視せよ
その心の奥の最も柔らかな部分に 焼きつくように

(『忘るるまじき黄金(きん)の午後』へつづく)


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