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好きだ、という感覚は、当たり前だが、対象を外から見つめることだ。
「人間が好きだ」というのは、人間社会との摩擦、つまり人が好きになれないことと表裏一体
だ。
好きになれない、入り込めない部分があってこそ、「やっぱり自分は人間が好きなのだ(ろう
か)」と<再確認>する余地がある。
好きになってからでなくては「好きでなくなる」ことができないように、「好きでない」という停止
状態――それは嫌うという運動状態とは異なる――があってこそ「好き」になれる。
そしてまた、とことん離れることによってこそ、新たに接近するエネルギーを回復できるのだ、
と感じる。
地球の大気圏を離脱したものだけが、大気圏に突入できる。
そのように、人間には、人間に出会えない。
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